無料カウンター
完成 
南ア 塩見岳〜悪沢岳

 

蝙蝠尾根〜塩見岳〜悪沢岳周回

 

 September 10〜13, 2013         岡田 記

 
 


            


二軒小屋ロッジ
 
10日: 二軒小屋ロッヂ(4:30)−蝙蝠岳登山口(5:00)−徳右衛門岳(8:45)−蝙蝠岳(10:45)−北俣岳分岐
  (13:00)−塩見岳(13:45)−塩見小屋(14:35)

11日: 塩見小屋(5:45)−旧三伏小屋分岐(7:30)−旧三伏小屋跡(7:40)−2,670m登山道(8:30)−烏帽子岳
  (8:45)−小河内岳(10:30)−休憩−高山裏避難小屋(13:45)

12日: 高山裏避難小屋(6:45)−荒川前岳(9:15)−(11:00)荒川東岳(12:00)−千枚岳(13:00)−千枚小屋
  (13:45)

13日: 千枚小屋(5:00)−二軒小屋ロッヂ(7:30)


メンバー:単独
 尾根からの眺望が素晴らしいと聞いていたので歩きたかった蝙蝠尾根。だが、南アルプスへの登山というのは、アプローチに日数がかかるため時間がないとなかなか行くことができない。今回、予報ではベストとは言い難い天気だったが、これを逃すと年内に行くことはできないと決行することにした。

前泊として泊まったのは二軒小屋ロッヂ。木のぬくもりを感じる小じんまりとしたプチホテルといった感じ。スタッフのホスピタリティはもちろん、夕食のフルコース料理も美味しく、評判以上に素敵な宿だ。客層は釣り・散策・登山とで三分割されているらしいが、それが良いのだろう。これが登山客のみを相手にするようになると、もっと簡素で殺伐とした感じになるのだろうと思う。
徳右衛門手前の水場 
蝙蝠尾根
早朝、ヘッドランプをつけながら登山口へ。そこまでは釣り師と同行。「30年前のような爆釣はない」と言っていたが、それでもここでの釣りが楽しそうだ。
お互いの健闘を祈りながら別れ、私は薄明かりの樹林帯へ。
想像していた通りの地味で長い急登が続く。この先の水場は徳右衛門手前のみ。足場が悪く、加えて登山道から往復20分ほどかかるということなので、今回はそこに寄らないつもりで水をボッカした。真夏には歩きたくないルートだ。
天気がもつと踏んでいた初日だったのだが、森林限界に近付く頃から太陽も顔を見せなくなり天気は曇りに。待望の尾根に上がる頃には霧雨まで混じりはじめ、残念ながらその素晴らしい眺望を眺めることはできなかった。
尾根は広くなだらかだが、途中ハイマツ帯に入ったりもするので、視界が悪いとルートを見つけにくいかもしれない。
北俣峠付近では幕営によさそうな場所がいくつもあったが、このあたりは幕営禁止。塩見岳の岩場を慎重に歩きながら塩見小屋に3時前に到着。 
 
塩見岳東峰
 
塩見小屋 
翌日は高山裏避難小屋までなのでゆっくり出るつもりだったが、小屋の起床が4時。登山客も3時過ぎからざわざわし始めたため、こちらもやむなく起床。小屋にはゆっくりできるスペースもないので、6時前に出発することにした。
昨日の天候をひきずって、朝から霧雨の中の歩行となるが、行程の大部分は樹林歩きで眺望が期待できるわけでもないので気にならない。
途中、塩見新道への分岐は閉鎖中。続く旧三伏小屋への分岐も閉鎖されているが、こちらは注意書きがあり「幕営禁止」とのこと。通過を制限しているわけではないので、こちらのルートで水をとりながら烏帽子岳に上がることにする。
旧三伏小屋までの踏み跡は明瞭。営業小屋だっただけあり、確かに幕営敵地。これでは黙っていたら誰もがここで幕営してしまうだろう。閉鎖も納得できる。水はここの三伏沢やその先の支流からもとることができた。旧三伏小屋以降の踏み跡は薄くなるが、危険個所はないので方向を間違わなければ問題ないだろう。
到着した烏帽子岳でも残念ながらガスは晴れず眺望はなし。続く小河内岳では少しガスが晴れ、近くにある小河内避難小屋からの眺望が抜群に素晴らしかろうことが想像できる。水を持参しないといけないが、ぜひ一度泊まってみたいと思った。
その後は高度を下げ、樹林の中を高山裏避難小屋へ。小屋では甲斐駒から縦走中の単独の山女子と一緒になり、楽しい夜を過ごした。 
旧三伏小屋跡 
旧三伏小屋跡から烏帽子岳へ

烏帽子岳 
   
小河内岳避難小屋

高山裏避難小屋

高山裏避難小屋付近よりの眺望 
翌朝は今までとはうってかわって良い天気。これから歩く3,000mの稜線からの眺望を思うと、ついついテンションが上がる。
前夜同宿した山女子と悪沢岳まで同行。一人も楽しいが、こういった天気の良いときは「わぁ!」「きゃあ!」一緒に言い合える相手がいるのも楽しい。
300mはあるというガレのカール歩きはしんどかったが、登りつめた先で見えた眺望の素晴らしさは絶品。その後天気が崩れることもなく、終始360度の展望を楽しみながらの稜線歩きとなり、あまりの素晴らしさに悪沢岳でも1時間ほどのんびりしてしまった。やはり山は晴天第一ということだ。
午後からだんだんと雲も増えてきたので、この日の行程は予定通り千枚小屋までとする。
建て替えたばかりだという千枚小屋は、二軒小屋ロッヂ並みにすてきな外観の小屋だ。素泊まり用の別館は昔のままのようだが、シンプルで清潔だ。
到着時にはガスで眺望がなかったが、翌朝見ると、目の前に富士山が広がるという最高のロケーションだった。
 
    300mのガレカール 
  最終日は二軒小屋9:30発の送迎バスに合わせた出発にしたので、朝日に染まる富士山を眺めながらの贅沢な山歩きとなった。ショータイムが終わるころ樹林帯に突入。以降はただひたすら高度を下げていく単調な歩き。結果、コースタイムをかなり縮小し、余裕をもって二軒小屋に到着することができた。
二軒小屋では、バス待ちの時間にテラスを自由に使わせてもらい、ちょっとしたリゾート気分を満喫するおまけまでついた。
 

荒川中岳 
荒川中岳より富士山  アプローチの悪さが気になっていた南アルプスだったが、来てみるとその緑濃い山容に圧倒され、その中に身をおけたことに幸せを感じた。またこのあたりを仕切っている(?)東海フォレストも、関連施設はどこもサービスがよく気持ちの良いもので、送迎バスの運転手さんの周囲の山々の話はおもしろく、また希望場所での下車可能とのことで、こちらのホスピタリティも最高だった。
年を重ねてから、聖や光をゆっくりと歩くのもいいなと、そんなことを思いながら帰路についた。
 
 
悪沢岳(荒川東岳)

悪沢岳より、南ア北部の山々  

悪沢岳より、蝙蝠尾根  

    千枚小屋付近からの朝の眺望  

国内情報へ戻る